[ウエストセブン専用エリア:オービタルベース内]
「それで、どうするつもりだ?」
「報復するのが筋、と言いたいところだが………」
クロンダイクの表情は厳しい。それにも増して、リーパーの顔には深い苦悩の色が見える。
「俺は何だっていいぜ。兄貴がそれがいいって言うならな」
レッドドッグをちらりと見やり、クロンダイクが小さな溜息を付く。ネームレスがその様子をじっと見つめている。
「ところでルージュがいねぇけど、いいのか?」
「仰せのままに。すべて団長に任せる、だそうです」
「ルージュが?」
「ええ」
顔を上げたリーパーの目が遠くを見つめる。
■ ■ ■
出会った場所がここでさえなければ、そしてこんな状況でなければ、目の前にいる女は衆目の視線を浴びるほどには美しいと言えたかもしれない。
しかし今、女は対アウター用の拘束衣に包まれている。そしてここは厚さ20センチの超硬化スチールの壁に囲まれた特別収監室だった。並みのアウターであればまず破壊は無理だ。
女は身じろぎひとつせず、何の表情も浮かべてはいない。
三重の扉で密閉された収監室に通された男は、辺りの薄暗さを疎ましそうに眺めてサングラスを外した。
男の素顔を見た女は、慇懃な口調でこう言った。
「歴戦の英雄にこんなところで会えるなんて、とても光栄だわ、ミスターリーパー」
リーパーと呼ばれた男は、黙って女の顔を見つめている。
ただでさえ息が詰まりそうな収監室に沈黙が降り積もっていき、ようやく3分経ってからリーパーが口を開いた。
「ルージュ・シンデレラだな。どうせ本名ではあるまい」
「そうね、比較的新しい名前だわ」
ルージュが淡々と答える。
リーパーは器用に片側の眉だけを動かして、ルージュを見た。
こういった手合いの相手をするのは慣れていたが、女という一点で珍しい。少し思案して、いつも通り単刀直入に訊くことにした。
「自分の結婚式に招待した客を全員殺したそうだな。何故だ?」
「話さなきゃならない理由が見当たらないけど」
リーパーは武器にならないよう床に固定された、安っぽい椅子に座ると静かに話し始めた。
「お前はオレのことを英雄と呼んだが、やっていることは同じだ」
その言葉を聞いて、初めてルージュが感情を見せた。
ルージュはてっきり、リーパーが正義のヒーローを気取っていると思っていたからだ。
少しだけ、このリーパーという男に興味がわいていた。
「それは、あなたも”こっち側の人間”という告白かしら?」
「自己の利益のための殺人だ。オレが軍人であるとか、お前が犯罪者だなんてことは、神は知ったことではなかろう。お互い地獄行きは確約されている」
ルージュが楽しそうにくすくすと笑う。
「意外だわ。共同体の英雄だなんて呼ばれている人が、そんな風に考えてただなんて。で?」
「地獄に行くのは構わんが、もう少し金を稼ぐ必要ができた。お前の話を聞いて今後の英雄活動に生かそうと思ってな」
リーパーの口調にわずかに自重の色が混じるのを察して、ルージュがいよいよ声を上げて笑い出した。
「あははは、お仲間ってわけね。だったらいいわ。何がお望み?」
リーパーが何の目的で自分との面会を求めたのかは分からない。しかしこの男は自分のしてきた所業を正確に理解していて、それに良心の呵責を感じている。
自分が十代になる前には乗り越えた悩みだ。何とも可愛らしい悩みではないか。
「どうして招待客を殺した?」
「話が逆よ。殺したい連中を結婚式に呼んだの。仕込みに時間がかかったけど、なかなか面白い仕事だったわ」
ルージュは目を瞑って、その時のことを思い出す。
当時のルージュは――それはまだルージュ・シンデレラと呼ばれる前のことだったが――どういうわけか同時に40名近くの依頼を抱えていた。
自分のような商売が繁盛するとは世も末だと思ったが、仕事は仕事だ。
一人ずつ殺しても構わなかったが、それでは時間がかかりすぎるし、第一面白くない。
考えた末、彼女はターゲットたちの人間関係や利害関係をつぶさに調べ上げ、彼らの多くと関わりを持つ一人の人間を洗い出した。
それはどこにでもいるような青年実業家であり、偶然手に入れたひとつふたつの特許を武器にビジネスを広げようとしていた人物だった。
ルージュは青年実業家に近づき、ゆっくりと時間をかけて関係を深めていった。
3年経つ頃には、偶然知り合った実業家はビジネスパートナーから恋人となり、そしてその日、花婿になる予定だった。
共同体による再編が進んでいるとはいえ、まだ行き場のない難民も数多くいたし、各地の内戦は収まる気配もない。
そんな世の中だ。派手な結婚式というのはとかく一目を引く。これから事業を広げようという人間にとっては諸刃の剣だ。だが、深く愛する女性を喜ばせるために男は、
未来の花嫁の願いを叶えたのだった。
ルージュのたっての願いで結婚式は大きく執り行われた。
花嫁と花婿によって選ばれた招待客は百名ほどで、その多くがルージュの暗殺対象だったのは言うまでもない。
式は派手だが、厳かに執り行われた。
「幸せだったわ。誓いの鐘の音が鳴るまではね」
今でも鮮明に覚えている。
二人の宣誓が済み、祝福の鐘が教会に鳴り響く。
同時に、招待客の席に仕掛けた無志向性の対人地雷が弾けた。
それから阿鼻叫喚の惨劇が繰り広げられた。
ドレスの下から取り出した銃で閉ざされた扉を必死で叩く人々に銃弾を浴びせ、命乞いをする者の頸動脈をナイフで掻き切った。
仕事が終わるまで10分もかからなかっただろう。
純白のウェディングドレスは、今やターゲットの返り血で真っ赤に染まっている。
生き残ったのは可愛らしいブーケを手渡してくれた子供たちと老人たちだけ。
それともう一人。
彼女は机の下で失禁しながら震えている花婿にキスをして、教会を去った。
それ以降、彼女はルージュ・シンデレラと呼ばれ始める。
「魔法は解けてしまったの。シンデレラは退場しなくちゃ」
楽しそうに語るルージュに、リーパーが訊いた。
「何故、全員殺さなかった?」
「ターゲットじゃなかったから。子供たちには未来があるし、老人はほっといてもそのうち死ぬでしょ」
「花婿は? お前の情報をかなり握っているはずだ」
似顔絵やモンタージュを作られるだけでも、殺しを生業とする者にとっては厄介だろう。
それだけではない。三年近くも共に暮らせば、食べ物の好みや性癖といった生活スタイルまでもが知れてしまう。
リーパーの常識で考えれば、まとめて殺してしまうほうがあと腐れがない。
しかしルージュは、こう答えた。
「それこそ殺す必要がないわ。あの人は私を本当に愛してくれたのよ。ただ不幸だったのは、誰かに死んでほしいって願われるようなクズが身の回りに多かっただけ。それに、本当の私を知らない」
「造り物か」
「ご明察。今の時代、他人の顔や体を手に入れるなんて払うものさえあれば可能な時代よ」
「神父も死んでいるな。ターゲットだったのか?」
「ああ、それはあいつが信徒を食い物にしていたから、ついでにね」
悪びれずに、ルージュは言い放つ。
なるほど、とリーパーは思う。
ルージュ・シンデレラと名乗る以前の余罪も考えれば、懲役300年余というのも頷ける。
大事なのは、ルージュが『使えるかどうか』だったが、さて――
「参考になった」
リーパーは椅子から立ち上がる。
監視カメラに向かって片手を上げると、ブザーが鳴って一番手前のドアのロックが解除された。
出口へ向かって三歩ほど進んでから、リーパーがルージュを振り返った。
「このままいけば牢獄で野垂れ死ぬわけだが、お前はそれでいいのか?」
「刑期の長さは私の仕事に対する評価でしょう。甘んじて受け入れるわ」
「そうか」
「地獄で会いましょう、英雄さん」
リーパーは再び出口に向かって歩き出す。
その時だった。
何の音もなくルージュの身を包んでいた拘束衣がするりと脱げ落ち、カメラが捉え切れないほどの速さでリーパーの背後に向かって飛び掛かった。
不意に目の前に現れた英雄は、人質の価値としては十分すぎるほどだった。彼は、この先も英雄稼業を続けると言っていた。ならば共同体も、リーパーがこの先もたらすであろう利益を無視できないはずだ。
音もなく背中に飛びついて、研いである爪で頸動脈を狙う。外にさえ出てしまえば何とかなる。
甘いわね英雄さん、と口走るのを何度我慢したことか。
が、しかし。
「ふんっ」
飛び掛かった先にあったのはリーパーの背中ではなかった。
いつの間にかリーパーはこちらに向かって身構えており、飛び掛かったルージュに右・左・右と三発のストレートを叩き込んだ。
まるで大口径の銃を目の前で撃たれたような衝撃だった。
そのまま壁に打ち付けられてもんどりうったルージュに向かって、リーパーは床から椅子を引き千切り、全力で打ち下ろす。
普通ならそのまま脳天を割られて即死していたところだ。だが、ルージュはとっさに上げた両腕で椅子をガードする。腕がへし折れたことは感覚で分かる。痛覚を意識から遮断する。壁を蹴った反動を利用して跳躍し、リーパーの頭部へ必殺の一撃を放つ。
「殺った!」
だが、それは決して致命傷にはならず、掴まれた足が握力で砕ける。そしてそのまま床へ叩きつけられる。
ルージュを無力化するための正確無比な攻撃だった。
痛覚を遮断しても、神経を流れる信号は波打って指先一本でさえ自由に動かせない。見上げたリーパーの顔には、何の感情も浮かんではいなかった。
ルージュはその時に初めて、この面会が彼の負った任務だということに気付いた。つまりこれは彼の仕事なのだと。
時間は分からない。だが、ルージュがそれでも立ち上がろうともがいた時、声が聞こえた。
「オレが求めているのは、何としても生き延びたいという意志だ。オレの部隊へ来い。改めて連絡する」
リーパーはそう告げると、ひしゃげた椅子を投げ捨てて収監室を出て行った。
あれから数か月が経った。
リーパーから受けた負傷の治療が済み、ルージュは凶悪犯のみを収容する刑務所へ移送された。そこはアウターの凶悪犯という括りだけで男も女も区別はなく、自分より先に5人ほどの犯罪者が収監されていた。
収監されている仲間には、一見して凶悪そうな者もいれば、到底殺人犯とは思えないような物腰柔らかい青年もいる。自分より若い女もいたが、何をしでかしてここに送られたのだろう。
兄弟で収監されているという犯罪者の兄の方は鼻持ちならなかったが、共通しているのは誰もが心から大事な何かを欠いていて、そのことを微塵も気にしていないことだ。
自分も含めて全員が一〇〇年以上の懲役刑を受けており、リーパーと面会した際に(経緯は異なれど)ひどい目に遭わされたというのも同じだった。
その時に、彼の部隊に誘われたということも。
「拳を交わして確信しました。あの人の強さは心の強さ故です。私たちみたいな者が一生かかっても勝てる相手ではありません」
仲間の一人がそう話すように、ルージュもそう思う。
気が付けば、考えるのはリーパーのことばかりだった。
無為に流れる時間の中、彼の部隊に入るということの意味を、それぞれが考え続けた。
さらに数か月の間、誰からも何の連絡もなかったが、全員がじっとそれを待ち続ける日々が続く。
そして、遂にその日がやってくる。
刑務所に現れたリーパーは、待ち望んでいた英雄ではなかった。
リーパーは自分たちと同様の囚人服に身を包み、番号で呼ばれていた。
「オレはスカイユニオンの正規軍から除籍された。今やただの犯罪者だ。懲役四二〇年は盛り過ぎだと思うがな」
仲間は何も言わずに、リーパーの次の言葉を待っている。
誰もが信じていた。
これまでとは違う世界へ、リーパーが導いてくれることを。
「これより非正規の部隊を編成する。報酬は刑期の減刑という形で支払われる。参加するも辞退するも自由だ。十秒で決めろ」
十秒経過して、部隊への参加を辞退する者はいなかった。
どんな提案にしても、死ぬまで監獄に繋がれるよりはましだ。選択の余地はない。
「戦地は?」
誰からともなく訊かれたその質問に、リーパーが答える。
「オーバル」
全員が息を飲んだ。
あの『始まりの日』が起きた場所。アウターでなければ生きられない呪われた地。そこでは傭兵と呼ばれる者たちが、人類の敵イモータルと命を賭して戦っているという。
「我々にイモータルと闘えと?」
「それは建前に過ぎん。オーダーに介入しフェムト資源の分配量がスカイユニオンに有利になるよう工作を行う」
これ以上ないというくらい分かりやすい説明だった。人類の平和という大義に後ろ足で砂をかけるような汚い仕事だ。
「身も蓋もない正直さですね。政治屋たちが考えそうなことです」
「それで刑期が減免されるってなら、あたしたちはいいケドさぁ。英雄さん、あんたはいいの?」
「何も問題はない」
それと、とリーパーが付け足した。
「元・英雄だ」
その瞬間だけ、リーパーが苦笑しているように見えたのは気のせいだろうか。
ともあれリーパーの提案は理解した。なるほど、犯罪者も使い様だとルージュは思う。オーバルでは、外の世界での身分も罪状も問われないのだから。
「最初のオーダーは、この刑務所からの脱獄だ。今夜零時に開始する」
「仰せのままに。すべてあなたに任せるわ」
命令された次の瞬間から、全員が目的のために行動を始めた。まるで統率の取れた部隊のように。オーダーの開始を待つ間、ルージュが何気なく訊いた。
「そう言えば部隊の名前ってあるのかしら」
リーパーが答える。
「西の七人」
それが共同体も手に負えない犯罪者たちと、それを束ねる元英雄に与えられた名前だった。
地獄とも思える人生を歩んできて、これから地獄の方がましとさえ思える地に向かう。そのことを誰一人として気にする様子もない。もしリーパーが裏切って自分たちを切り捨てるのなら殺してしまえばいいだろう。
いや、自分にリーパーを殺せるのだろうか?そんなことを考えている内に、楽しい気分になっていることにルージュは気付く。自由時間の終わりを告げるブザーが刑務所内に鳴り響いた。
その音にルージュの独り言は、かき消された。
「騙して悪いけど、予定通りよ」
■ ■ ■
「どうかしましたか?」
「いや、何でもない」
「で?」
「お前はどう思う?」
「はっ! らしくないな。自分の考えがまとまらないまま、他人に意見を求めるなんてな」
「確かに」
「まあいい。俺の考えは隊を”割る”」
「何!?」
「兄貴!?」
「どういうことだ?」
「いいか? リーパーは違うが俺たちは犯罪者で刑期がある。グリーフ側に立てばこの刑期は消える。だがな、奴は人類、いや人間の敵となった。それに連なる者は全員が犯罪者、いや反逆者か。どっちに賭けるにしても分が悪い。だがな、勝者は敗者を救う機会を得ることが可能だ」
「八百長ってことかよ?」
「察しがいいな。レッド、覚えているだろ? 地下闘技場での胴元が負けることは”絶対”に無かった。俺とお前のせいでそれは崩れたが」
「そうそう、あれは最高だったよな! 兄貴が話つけてくれなきゃ、やばかったぜ!」
「グリーフは手札をすべて開けてはいない。それにな、あいつの能力は俺の予測だが、未来予知かそれに近しい何かだ」
「何故そう思う?」
「ゲームにはルールがある。だから、頭の良さで先を読むことは可能だ。何手あろうと関係ない。ルールがある限り、無限手は存在しない。それはこの現実世界でも同じだ。条件が限定される限りはな」
「答えになっていないぞ?」
「俺は特別頭がいい。それはお前たちも認めるな?」
リーパーは不承不承、ネームレスは楽しそうに腕を上げた。レッドドッグは言うまでもない。
「グリーフがやってきたゲームはどう考えても条件の変数が多すぎる。これまでの奴の動き、結果を考えてみたが、俺が奴に勝てる可能性はゼロに等しい。だから、俺以上に頭がいいか、そうでなければ、未来予知かそれに近しい何かだ」
「それほどか」
「それほどだ」
二人が考え込む。レッドドッグに至っては兄が負けるなぞ考えられないのだろう。不思議そうな顔で兄の顔を見つめている。
「なら、グリーフの勝利ではないのか?」
「可能性は高い。だがな、奴の扱える変数の限界値は分からない。だから、壁の外まで含めてすべてが敵となった今、奴は実は既に敗北している可能性もある」
「勝ってるのに、負けてるのか?」
「レッド、黙って聞け」
「………」
「俺は奴が気に食わん。だから、このゲームは俺のゲームにする」
「勝てるのか?」
「まだ分からんがな。俺の予測が正しければ、奴に扱えないものもあるということだ」
「どっちが勝っても相手を救う。あなたは奴に勝つために」
「そうだ」
「いいだろう。俺はこれ以上、この隊の奴らに死んで欲しくない。お前に賭ける」
三人が頷く。
「それで、隊はどう分ける?」
「俺とリーパー、あんたはグリーフ側だ。他はこのままだ」
「兄ちゃん! なんでだよ!」
「リーパーは既にグリーフの誘いを受けている」
「何!?」
「団長!?」
「知っていたのか?」
「いや。ただの推論だ。だが、あんたは自分の息子を救うため、高額の医療費を払うためにこの汚い仕事、西の七人を引き受けたことは知っている」
「そうか、知っていたのか」
「自分たちのリーダーが何者なのか、調べないほどまぬけじゃない。それに、あんたが思っている以上に俺たちには伝手がある」
「全員知っていたのか?」
「私とクロンダイク、ルージュの三人です」
「そうか」
「そんなあんたに、共同体は脅しをかけてきたが、グリーフは息子の保護を申し出てきた。そんなところだろう」
「流石だな。まったく、その通りだ」
「だから、まずはあんたの子供を保護させる。そのためにはグリーフ側に付く面子にあんたは絶対に必要だ。そして共同体に、いや他の旅団に信用させるにはネームレス、お前が必要だ」
「お前とレッドが別れるのはおかしくないか?」
「俺は他の旅団に嫌われている。だから、俺とレッドが別れていなければ俺を救う奴がいなくなる」
「私では不安ですか?」
「嫌いだろ、俺のこと」
笑うクロンダイクに、ネームレスが苦笑する。
「で、これは俺としては嫌なんだが決裂したように見せるために古い手を使わざるをえん」
「古い手か」
「古い手だな」
「なんだ、そりゃ」
レッド以外の三人が立ち上がる。レッドもつられて立ち上がる。
「ルージュはどうします?」
「バカな男共を見てたってことでいけるだろう」
「そうだな」
「なら、やるか」
「何だ? 何をするんだ?」
「こういうことさ!」
ネームレスがレッドを殴りつける。
「手加減しろよ」
「出来るだけな」
リーパーの鋼鉄の拳が、クロンダイクの眼前に迫っていた。