Star Reclaimer

デモンエクスマキナ 星の解放者

第3章−5

[装甲の王冠専用エリア:オービタルベース内]
 暗闇に輝く赤い光点。注意を向けさせるためのレーザー照準。
だが、これはフェイクだ。床には極々細いワイヤー。これもフェイク。それに気づいた者が行動する範囲に、感圧式の対人地雷が設置されている。本命はこれだろう。とても丁寧に設置されている。ここまでなら人体改造を施した者なら見破る可能性は十分にある。だがその先、何の変哲も無い壁はホログラムだ。ご丁寧に見た者が視覚改造者の場合には、ハッキング機能が作動するようになっている。いいプログラムだ。並みのプログラマーでは簡単に突破出来ないだろう。防壁が、突破した手順に従って延々と再構築される仕組みになっている。
 まっすぐに通路を進む。ワイヤーを飛び越えた所を壁の後ろから攻撃する気だろう。アーセナルと違い、人間の身体は空中で行動できるようには出来てはいない。付き合ってもいいが、面倒くさい。
「ちゃんと片づけときなよ」
 踵を返し、出ていこうとするエンプレスに、たまらずホログラムの壁から、クイーンが姿を現す。
「おいおいおいおい、待てぇ!」
「何?」
「何って、せっかく用意したのに無視すんじゃないよ!」
「面倒くさいじゃない。わたしを狙うのはいいけど、全部バレバレの罠に付き合うと思う?」
「まったく。どんな罠もお見通しときた。せっかくプリンセスに手伝ってもらったのに台無しだよ!」
 苦い顔のクイーンはこれで何度目かと考える。最初にエンプレスを殺そうとしたあの日から。

     

 ■  ■  ■


 ドアを開けると、そこは世の中の汚い物を全てぶち込んだような場所だった。建材丸出しの壁の奥に、そこだけ時代がかった木製のカウンターが見える。
 カウンターの奥では、一癖も二癖もありそうなバーテンダーがグラスを磨いていた。店内を見回していると、脳にクソが詰まっていそうな男があたしの眼前に立った。
「よう、どうだい? オレの奢りだ」
 男はそう言いながら、琥珀色の液体で満たされたグラスをあたしの胸元に突き付けている。
年代物のウィスキー、ここではこんな貴重な物だって手に入る。
「あら、ありがとう。優しいのね」
 あたしはそう言って右手でグラスを受け取り、それをそのまま男の顔面にぶち込んだ。
「グガッ!!」
 男は顔面から派手に鼻血を吹き出しながらふらふらと二歩後ずさる。
「てめえで飲み干しな、クソが!」
 あたしが改めて店内を見渡すと、客たちの昏い目がこちらを値踏みするように捉えているのが分かった。あたしは微笑みを浮かべて、こう言ってやった。
 「あんたらのクソな頭に乾杯」
 その一言で客たちの興が覚めたのか、それぞれの席へと戻っていった。あたしは出ていこうと腰を上げた男がいるテーブルへと歩を進める。その男はあたしと目を合わせないよう、顔を伏せていたが、諦めたのか溜息を付き、顔を上げ、腰を据えた。
「あんた、こんなところまで追ってきたのかよ」
「あなたの情報がガセだった理由。その言い訳のチャンスをあげようと思って」
「ああ、うん、悪かった、ガセのつもりじゃなかったんだ。だが情報が間違ってたのなら仕方ない。金は返すよ。それでいいだろう?」
「言い訳になってないわ。それにお金なんて必要ないの」
 そう言いながら腰のシースから大振りのナイフを抜いて、テーブルに突き立てる。それまで情報屋特有のヘラヘラした笑いを浮かべていた男の顔色が、さっと青くなった。
「待てよ、待てって! ここがどこだか分かってるのか? ここで騒ぎを起こしたらあんただってタダじゃ済まない」
「治外法権は承知の上よ。カモった客が、まさかオーヴァルまで追ってくるとは思わなかった? けど、ここじゃ貴方よりあたしの方が通った顔よ」
 ここは正確に言えばオーヴァルじゃない。オーヴァル壁にフジツボのように張り付いている違法な街区、ウォールシティの一つだ。オーヴァルの内側は最新技術や重要物資、機密情報が飛び交っている。ここにいる連中は、そのおこぼれに預かって生きている。
「は? あんた、まさかアウターなのか?」
「死にそうになりながら壁の外へ抜け出したっていうのに、まさかここに戻ってくる羽目になるとはね。納得できる言い訳がないのなら、話してもらいましょうか。ガンズの居場所を」
 あたしがその名を口にした途端、情報屋はぎゅっと目を瞑ったもちろん、ガンズの名前を出すことが相手へのプレッシャーになることは承知の上だ。男は他の客たちに聞かれないよう低い声で、注意深く話し始めた。
「最初から知らなかったんだ。あんたがカモだと思って適当な情報を流した。金なら色を付けて返す。それで頼むよ」
「あたしが大っぴらに情報を集めてるって噂を流した時、十人の情報屋が連絡してきたわ。あいつの居場所を知ってるってね。もちろん全員、偽の情報だった。あなたが十一人目ってわけ」
「俺も前の十人と同じだよ。お嬢ちゃんから金を巻き上げるなんてワケねえと思ったんだ。知ってれば、言うさ」
「みんな同じことを言うのね。前の十人もそっくり同じ言い訳をしたわ」
「そ、そいつらはどうなったんだ?」
「覚えてないわ。あたし、キレると記憶が飛んじゃうから」
 男がごくりと生唾を飲み下す音が聞こえた。あたしは続ける。
「あなた、最初にこう連絡してきたわね。あの女の居場所ならすぐにわかるって」
「あ、う……どうかな、覚えてない。記録も残してないしな」
「あなただけが、あの女って言ったのよ。どうしてガンズが女だと思ったの? あたしはそんなこと、一言だって言ってないのに」
「思い違いだろう。いや、依頼者が女だったから、探してるのも女だって思い込んじまったのかも。きっとそうだ」
「最初に無料で情報を提供して、自分の価値を高めるってのは人材マネージメントの基本だわ。ガンズが女だって知ってるのなら、他のことだって知ってそうだもの」
「だからオレは何も」
 テーブルのナイフを抜くと、情報屋の肩を切り裂く。骨の上を滑らせる要領。皮膚と筋肉、その二つより遥かに量のある脂肪を割くが命に別条は無い。
「うぉおおわああああ」
 男の叫び声に、こちらを見る客もいるが見て見ぬふりだ。他人の揉め事に首を突っ込むのはオーヴァルでは、特にここでは死の覚悟も必要になる。
「で、喋る気になった?」
「……全部あんたが言う通りだとしても、オレは何も言えない。ガンズがどこと繋がってるか知ってるのか? オレが知っているだけでもすぐに名前の挙がるギャングたち、共同体だってガンズの依頼人だ。何か一言でも漏らせば、俺は生きていられない!!」
「それはあんたの都合でしょ? 喋らなくたって、あたしが殺すわ」
「どっちにしたって殺される。あんたもだ」
「それはいいわね」
 突然、知らない声が話に割り込んできた。あたしと情報屋の視線が同じ方向を見る。そこには、いつの間にか若い女が座っていた。カクテルのグラスを掲げながら、こちらを見つめている。だが、瞳は洞のように何の感情も示していない。情報屋の顔が恐怖に歪み、声にならない悲鳴を上げた。
「ガ、ガンズ!! ど、どうしてあんたがここに!?」
 その声を聞くや否や、あたしは弄んでいたナイフを逆手で握り締め、打ち付けるように女の顔面に叩き込んだ。
「シャアアアッ!!」
 刃が女の額をカチ割り、首の骨まで折って体ごと叩き飛ばしているはずだった。が、現実はそうはならなかった。
「この程度じゃ私は殺せないわね」
 ナイフの先端が、女の、ガンズの二本の指先の間に挟まれている。
「クソが!!」
 視界が真っ赤に染まる。あたしからすべてを奪った女が、のうのうと生きてるだなんて許せなかった。ビクともしないナイフはすぐさま捨て、同時に腰のホルスターからハンドガンを抜くと、ガンズに向かって5発発砲した。
「いい判断ね」
 ガンズの涼しげな声が、そよ風のように耳元をよぎる。バカにしやがって! あの時もそうだった。共同体にぶら下がっている、どこにでもある小さな企業だった。そこで経理をしていたあたしは、ある日、帳簿がおかしいことに気付いた。それを告発した翌日、あたしはギャング共の前に吊るし上げられていた。
「報いを受けるんだよ、ガンズ!」
 テーブルを蹴り倒し、そのテーブルごとフルオートで全弾を撃ち込む。手応えがない。いや、あの女の死体をこの目で見るまで、あたしの怒りは収まらない。ギャングと企業の重役が肩を並べて、侮蔑の笑みを浮かべていた。その傍らにあの女が、ガンズが立っていた。あたしが務めていた企業に、情報コンサルタントの肩書で出入りしていた。彼女はあたしを一目見て、すぐに帳簿に視線を戻し、二度とこちらを見なかった。
 それから、かつての上司が言った。あたしは帳簿操作の罪を押し付けられ、証拠の隠滅のためにオーヴァルへ送り込まれるのだと。あたしが何日で死ぬか、ギャングの連中と賭けをしているそうだ。
 全員、ブッ殺してやると思った。生まれて初めて心の内に芽生えた殺意を、その時のあたしはどうすることもできなった。殺してやると一万回も叫びながら、オーヴァルに放り込まれた。
「キレてるって割に正確な攻撃だわ。我流? それとも誰かに習った?」
「口を閉じな!!」
 そう言いながら回し蹴りが空を切る。戦う術は、オーヴァルで学んだ。運よくアウターとして目覚め、フェムト症を克服したあたしは生き延びるためなら何だってやった。あたしを陥れた連中への殺意を胸の中で育てながら、泥をすすり、血を流し、ひたすら壁の外を目指した。世界を隔てる巨大な壁に辿り着くのに、3年掛かった。壁の外の連中は皆、報いを受けてもらった。後は壁の中。
 その頃からだろうか、自分でも思いもしない理由で、胸の中で膨れ上がった殺意に火が付くことがある。ふと気が付けば、目の前に死体が転がっていることが何度もあった。
「死ねえええええ!!」
 あたしはあたしの中の狂気を恐れなかった。狂気をコントロールし、殺意を最大限に発揮する訓練をした。あらゆる状況のシミュレーションをし、護衛が何人だろうと、どんな武器を持ち出そうとも勝てるように準備をした。ガンズに対峙さえすれば、一分間で十回は殺せるはずだった。なのに――。
「このまま続けてもいいけど、何時間やっても殺せないわよ」
「黙れ! ミンチにして野良犬に食わせてやる!」
「なら、もう少しマシになることね」
 ガンズの動きが変わった。それまで防戦一辺倒だったガンズが軸足を踏みしめ、こちらへ打ち込んできたのだ。ガンズが攻勢に転じることは予測してた。けれど、その攻撃そのものが予想の範囲外だった。
「だんだんわかってきたわ。こんな感じかしらね」
 ガンズがあたしとまったく同じ動きで、こちらに打ち込んできたのだ。右手に食事用のフォークを握り、左手は拳を握ったまま人差し指と親指を立てて――もしかしてハンドガンのつもり?
「ナメやがって! 百回殺してやる!!」
 あたしはこれまでにないくらいブチ切れていた。怒りが増すごとに全身に伝わる信号は強くなり、発火した殺意が加速していく。この女を殺しても、何も取り戻せないのは分かっている。少しばかりだって気が晴れることもないだろう。復讐なんて、本当はどうでもいい。けれど復讐に縋らなければ生きられなかった。本当に大切なものは、何もかもあの日に失ってしまった。
「まだ続けるの?」
「シャアアアアアアアアア!」
 答えの代わりに、最後の弾丸を撃ち込んだ。銃口の先に、ガンズはいない。パワーも速さもさることながら、まるであたしの行動が見えているかのような動きだった。こんな化け物がこの世に存在するのかと、今さらながら思う。
「やっと弾が尽きたみたいね。じゃあそろそろ終わりでいい?」
「バカに! するなあああああ!」
 絶叫と共に、前蹴りとナイフのコンビネーションを繰り出す。ガンズはそれをいとも容易く避け、いなし、一歩踏み込むと、あたしの顎に左手に人差し指を押し当てた。
「バン! これでおしまい」
 これ以上は無いというくらい、完璧な決着だった。負けたと思った瞬間、ガンズの拳があたしの視界を覆い、暗闇が支配した。


「あれ、あたし、どうなったんだっけ……ぎゃっ」
 起き上がろうとして、全身に激痛が走る。ちらりと見えた風景は、安宿の一室のようだった。そして、あたしはベッドに寝かされている。
「起き上がりたいなら、手元にリモコンがある」
 あの女の、ガンズの声がした。言われた通り手元を見ると、簡素なリモコンが置いてあった。なるほど、あたしは介護用のベッドに寝かされているらしい。リモコンのボタンを押すのも苦痛だったけど、どうしてもあの女の顔を見たかった。
「全身の筋肉が断裂している。自分で自分の限度を理解しないと、一生寝たきりになるわよ? 痛み止めが欲しいなら用意するけど、どうする?」
 冷静な状態で見るガンズは、ただの若い女だった。昔見た時とまるっきり変わっていない。いやむしろ少し若返ってさえ見えるのは、豊かな表情のせいだろうか。あの頃は感情を感じさせない人形のような顔をしていた。
「どうしてあたしを殺さなかった?」
「殺す価値でもある?」
「クソが……」
 価値。ガンズの言う通りだった。自分はこれまで何をやってきたんだろう。色んな思いが脳裏をよぎる。色んなこと――。
「あたし、最後に何かしなかった?」
「ああ、あれはびっくりしたわ。意識を失っているのに銃を撃ってきた。悪あがきってわけでもなさそうだったし、第一、弾はなかったはず」
 思わずニヤリとする。
 右手の中に一発だけ弾丸を握り込んでおき、相手から見えない位置で一度弾切れで解放された排莢口から弾丸を装填する。手品の類いだけど、相手の残弾数を確認しながら戦うような相手には有効だ。特にガンズのような手合いにはよく効く。実際、一発撃ち込めたわけだ。黙りこくっているあたしに、ガンズは反対側のこめかみを見せた。そこには絆創膏が貼られていた。
「生れて初めてよ。ちょっと危なかったわね」
 不満げに睨みつけてくるガンズを見て、あたしは思わず笑ってしまった。子供かよ! ちょっと危なかったですって? もう笑うしかない。
「あなたのことは覚えてる。あの時は何も感じなかったけど、酷いことをしたと今なら思う」
「謝ってるつもり? それで許されるとでも?」
「思わないわ。ここに来るまで色々あったみたいね」
「同情されても嬉しくないわ」
「同情じゃない。お互いに、色々あったってことよ」
 パチンと指をならし、ガンズが悪戯っ子のように顔を近付けてくる。
「ねぇ、一緒に来ない?」
「はあ?」
「わたしと一緒に来れば、二十四時間いつ殺そうとして構わない。その代わり、わたしの仕事を手伝ってもらう。あなたに向いてる仕事よ」
「ちょっと待って、何の話をしてるの?」
「勧誘よ」
「あんた傭兵なの?」
「探し物があってね。壁の外には無かった。壁の中なら傭兵が一番動きやすい。二人ならもっと効率がいい」
「いや、待ちなさいってば。こっちにも事情ってものが――」
「返事はその怪我が治るまでにくれればいいわ」
 ガンズはそう告げると、軽い足取りで部屋を出ていった。あたしは言われた通り、よく考えた。考えに考え抜いて返答したはずだった。その結果――。  

     

 ■  ■  ■


「クソが! どうやったら死ぬのさ!」
「がんばって。次はうまくいくかもよ。それで、何回目?」
「百八十一回目よ」
 シャワーを浴びていたのだろう、頭と体にタオルを巻いた姿で出てきたエンプレスはそのままソファに座る。他の二人、クイーンは胡坐をかいて床に座り、プリンセスは一人用のソファに腰かけている。三者三様だ。
「成果はあったの?」
「ああ、今回は当たりだ」
「当たり……ってことは?」
「探し物が見つかった」
「すごい!」
「マジで! じゃあ、あれなのかい?」
「そう、ウロボロス――」

[ハンガー:オービタルベース内]
「フォー、ウロボロスを検索してくれ」
「ウロボロス。古代の象徴の1つで、自己の尾を飲みこみ環となった蛇、または龍。それらを図案化した物。コミックや、小説内に登場する――」
「違うな。オーヴァル内で検索」
「――傭兵たちの数人がこの名前を使っています。また幾つかの店舗名、または商品名。プロジェクト名が――」
「プロジェクト名?」
「現在進行形の物はありません。過去、”目覚めの日”以前のプロジェクトです」
「オーヴァル内の建築物との関連性は?」
「該当します。地上から静止軌道まで延びる軌道塔を建設し、人類が直面するエネルギー問題、食料問題、遺伝子問題などを解決、人類の発展、再生を目指したプロジェクトであり、またその研究です。そのために人類の資産をあらゆる形で貯蔵、地上に七つの施設が作られました。その一つです」
「そりゃあまた、大変な物がありそうだな」
「どうでしょうか。施設内包物はオービタル管理下の元、ほとんどが持ち出されています」
「記録があるのか?」
 目の前に記録というか、目録が出てくる。分類として保存、破棄のどちらかに分類されている。保存されている物が持ち出された物なのだろう。内容は見てもよく分からない物が多い。動植物の標本もあれば、論文データや膨大な紙の本、様々だ。
「これを破壊する意味があるのか?」
「施設自体は保存された際に再稼働可能と判定されていますので、イモータルの巣に利用されることが問題なのかも知れません」
「仮に、フォー。お前が使えると思う物はあるか?」
「どういった用途かによりますが?」
「そりゃ、あれだ、人類を攻撃するのに役立つものさ」
「人類を攻撃するにしても、実行の仕方がかなりの数――」
「最も速く攻撃する手段は?」
「最も速く攻撃しようとした場合、兵器の製造が最短となります。その場合であれば、炉心の再稼働と、施設内にある製造エリアを再建すれば最短となります」
「それか?」
「ですが、製造エリアは技術が古く現在のイモータルを維持するために使用するにはかなりの労力が必要となります」
「だとすれば、炉心かそこにあるはずの無い、何かだな」
「あるはずの無い、何か?」
「まあ、壁の外も大概だったが、中も大概ってことさ。結局、俺たちは誰かのゲームの駒でしか無い」
「傭兵をやめるおつもりですか?」
「いや。ゲームの駒なら駒でもいいさ。毎日をただ生きるだけよりは面白くなるだろ」
「そういうものですか?」
「そういうものさ。フォー、チェスの相手をしてくれ」
「レ―ティングはどうしますか?」
「初心者で……」
「レーティングを一〇〇で設定。始めますか?」
「まず、駒の動かし方だな……」


――――つづく

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